血圧測定には非観血式ろ観血式があり、本実習では各々の測定原理、測定方法および取り扱う上での注意点などについて理解を深めることを目的とする。

  1. 非観血法(NIBPnon-invasiv blood presser)による血圧測定技術
  2. 液体圧(観血法の模擬)の測定技術

 

A.非観血法による血圧測定

  1. コロトコフ音の聴診法および触診法による血圧測定:上腕動脈での測定
  2. マンセットの巻き方による測定値の変化
  3. 腕の太さに対するカフ幅の違いによる測定値の変化
  4. 脱気速度による測定値の変化(リバロッチ型血圧計)

 

リバロッチ型血圧計、タイコス型血圧計、ディジタル血圧計、聴診器、マンセット(各種)、

巻き尺

 

  1. 触診法および聴診法による血圧測定:椅子に座った状態で行う

  1. 触診法(タイコス型血圧計を使用)

  1. マンセットが上腕動脈にかかるように巻いた。マンセットの下縁が肘窩の2〜3
  2. cm上になるようにした。

  3. マンセットと皮膚の間に指が1〜2本入る程度に巻いた。
  4. 腕と心臓の高さが同じ高さになるようにした。
  5. 触診法で最高血圧を測定した(脈拍が触れなくなってから20〜30mmHg程度高くなるように上げ、その後脈拍ごとに2〜3mmHgの速さで脱気し、最初に拍動を感じた時

の値を最高血圧とした)。

 

最高血圧100mmHg

 

.聴診法(リバロッチ型血圧計を使用)

  1. マンセットが上腕動脈にかかるように巻いた。マンセットの下縁が肘窩の2〜3
  2. cm上になるようにした。

  3. マンセットと皮膚の間に指が1〜2本入る程度に巻いた。
  4. 腕と心臓の高さが同じ高さになるようにした。
  5. 聴診法で血圧を測定した:上腕動脈を触知し、聴診器をマンセットの下縁2cm内側
  6. に密着させ、最初に血管音が聞こえた時を最高血圧、最後に血管音が消失した時を最低血圧とした。

  7. 確認のために再度繰返し、値を記載した。

 

1回目 最高血圧110mmHg 最低血圧60mmHg

2回目 最高血圧109mmHg 最低血圧50mmHg

 

  1. 血圧計の高さ(0点の異常)による血圧値の変化(前項での値との比較)

  1. 血圧計はそのままの状態で、立った状態で血圧を測定した。
  2. 血圧計の位置より低くなった場合の血圧を測定した。

 

○実験結果

  1. 最高血圧120mmHg 最低血圧80mmHg
  2. 最高血圧108mmHg 最低血圧74mmHg

 

  1. では最高血圧、最低血圧ともに、前項の結果に比べると高い値が得られた。
  2. では最高血圧は前項の結果より低く、最低血圧は前項の結果より高いという結果が得られた。理由、原因などについては考察の6)で述べる。

 

  1. 連続測定による変化

  1. 10回連続で測定した場合の血圧の変化、および指先の感覚の変化を確認した。

 

○実験結果

    n回目

  最高血圧(mmHg)

  最低血圧(mmHg)

    1回目

   118

    52

    2回目

   108 

    56

    3回目

   110

    56

    4回目

   116

    58

    5回目

   110

    60

    6回目

   116

    54

    7回目

    98

    52

    8回目

    82

    56

    9回目

    80

    56

   10回目

    78

    56

 

7回目あたりから最高血圧が低くなっていった。この実験結果の考察については考察の7)で

述べる。

 

  1. 脱気速度による測定値の変化(リバロッチ型血圧計を使用)

  1. 脱気速度を通常の状態よりも早くし、その時の血圧の測定値の変化を見た。

 

最高血圧116mmHg 最低血圧 50mmHg

この実験結果の考察については考察の4)で述べる。

 

  1. マンセットの巻き方による測定値の変化(リバロッチ型血圧計を使用)

  1. マンセットを1)−bの状態から緩すぎる場合の血圧を測定した。
  2. マンセットをきつすぎる状態にして血圧を測定した。

 

○実験結果

  1. 最高血圧 130mmHg 最低血圧100mmHg
  2. 最高血圧 92mmHg 最低血圧56mmHg

この結果の考察については考察2)で述べる。

 

  1. 腕の太さに対するカフ幅の違いによる測定値の変化(リバロッチ型血圧計を使用)

  1. マンセットの幅を変え血圧を測定した(細すぎる場合、広すぎる場合)。

 

最高血圧 100mmHg  最低血圧 70mmHg

 

最高血圧 110mmHg 最低血圧 52mmHg 

この実験結果の考察については考察3)で述べる。

 

  1. リバロッチ型血圧計の仕組みと触診法について考察せよ。

リバロッチ血圧計は「マイクロホン」でコロトコフ音をキャッチし、カフ圧を「圧トランスデューサ」で測定し、マイコンで判断して血圧値を表示する。構造は図1のようになっている。カフ圧の中にはマイクロホンが仕組んであり、これがコードで本体のなかのマイコンに接続されている。図の場合加圧はポンプで行われ、スタートボタンを押すだけで加圧・減圧が自動的に行われる。手動でゴム球を加圧する方式のものもある。カフ圧を測る圧トランスデューサの信号もマイコンに入って判断される。圧トランスデューサには壊れにくい「半導素子」が用いられる。最高・最低血圧値と脈拍数がデジタル表示される。

 

触診法では手で脈を触れ、カフ圧を減圧して脈の触れ始めた点を識別して最高血圧を

測定する。

 

  1. マンセットの巻き方による測定値の変化について考察せよ。
  2. カフの巻き方が緩すぎると、丸く膨らむため幅の狭いカフを巻いたのと同じことになり

    (考察3)参照)、最高・最低とも高めに測られる。

    カフの巻き方がきつすぎると、最高の方には余り影響しないが、最低では余計な力が加わり低目に測定される。実験結果を見てみると確かにそのようなことが言える。

     

  3. マンセットの幅と上腕の太さの関係を測定値の観察を含めて考察せよ。
  4. 上腕の太さに比べてカフ幅が狭いと、図2に示すように、血管内圧と同じカフ圧で外から圧力を加えても、カフ下の血管は完全にはつぶれない。すなわち、より大きな圧を加えないとつぶれないわけで、血圧は高めに測定される。幅の広すぎるカフは逆に小さな圧でカフ下の血管がつぶれるので測定値を下げる。実験結果の最低血圧を見てみると、幅の狭いカフに比べて幅の広いカフの方が低い値になっており確かにそのようなことが言える。最高血圧では逆の結果が得られている。幅の広いカフと幅の狭いカフ間の最低血圧の値の開きより、最高血圧の値の開きがすくないことから測定上の誤差であると考えられる。

     

  5. 脱気速度の変化による測定値の変化について考察せよ。
  6. カフの脱気速度が速すぎると図3に示すように、スワン第1点は最高より少し下がった所で聞こえ、また、最低より少し高いところで第5点になってしまうので、最高血圧は低目に、最低血圧は高めに計測される。実験では全く逆の結果が得られた。これは実験1)での脱気速度が実験4)の時よりも速いかったという可能性が考えられる。また10回連続測定の実験結果を見てもわかるように測定値にバラツキがあり、測定上の誤差である可能性が高い。

     

  7. 非観血法による血圧測定の注意点について考察せよ。

  1. カフ幅
  2. カフ幅はその人に見合ったものを使用する(腕の太さの1.5倍程度のものを使う必要がある)。特に小児の場合、年齢ではなく腕の太さで使うカフを決めるべきである。カフ幅が

    狭い時、広い場合については考察3)で既に述べた通りである。

     

  3. カフの巻き方
  4. 指が2〜3本入る程度にしめる。

     

  5. 脱気速度
  6. 1心拍当たり2〜3mmHgで下げる。

     

  7. 水銀柱
  8. @)垂直にして使う。

    A)水銀量が少なくなったら適時水銀を補給する。

    B)水銀柱の空気フィルタが詰まったいないか確認し、詰まっていたらフィルタを交換する。

     

  9. 測定場所

心臓と同じ高さにする。

 

 

  1. 血圧計の高さによる血圧値の変化について考察せよ。
  2. 血圧計をの高さを右心房の高さに正しく一致させないと、高さの差の分の水注圧だけ誤差となる。

    すなわち血圧計の位置が右心房より低いと血圧はその高さの差の分高くなり、高くすると、その高さの差の分だけ低く計測される。実験結果を見てみると確かにそのようなことが

    言える。

     

  3. 連続測定による変化について考察せよ。
  4. 実験結果を見てみると、6回目を過ぎたところから最高血圧が下がり始めた。

    この結果を考察するにあたってまずコロトコフ音の発生機構について述べる。

    図4におけるTの時相の時は、外から血管を抑えつける圧(カフ圧)が血管内圧より高いので、血管は押しつぶされて血流は遮断されている。カフ末梢の血管の血液は、靜脈側に

    流れて位ってその内圧は小さくなり、そこの血管の直径は通常より小さくなる。

    カフ下の血管内圧がカフ圧よりほんの少し高くなるとUの時相の初め(A点(この点が最高血圧))では、血管の広がろうとする力(血管内圧)が押しつぶそうとする力(カフ圧)に勝って、血管は急に開き血流が急に流れる。カフ末梢には高い圧力が伝わってくるので、血管は急激に膨張する。これは皮膚を下から急に押し上げ、皮膚の上の聴診器を下から叩くことになり、

    コロトコフ音が発生するのである。

    このコロトコフ音の発生機構から考えると、連続測定による、長時間の血管の圧迫により、血管内圧が減少したため、カフ圧を徐々に減圧していっても血管が広がりにくくなったため、通常よりも圧を下げないと血管が開き血流が流れ始めないため、結果としてスワン第1点(Uの時相のはじめ)が下にずれて最高血圧は低くなったと考えられる。

     

     

  5. 他の非観血法による血圧測定の種類をあげ、原理、構造、利点、欠点を述べよ。

 

この血圧計は脈診によって動脈の拍動の開始を触知するかわりに、「超音波血流計」を当てて、血流の再開を音で聞いて最高血圧を測定する。この方法は非常に感度が高いので、

小児や肥満者やショック状態で低血圧になった患者でも、最高血圧が正確に測れるという

利点をもつ。図5に示すように血流音が最大になるようにドプラ血流計のプローブを動脈に当てて絆層膏などで固定する。次ぎにカフ圧を、触診と同じ要領で血流音がいったん消える(血流が途絶える)まで上げ、カフ圧を下ろしてきて、血流音がはじまる(血流が再開する)点が最高血圧である。プローブをあてる際、血管の走行方向にそって置かないと測定値に誤差が生じる。

 

構造はリバロッチ型の自動血圧計とほぼ同じで、マイクロホンのかわりに図6のように超音波検出器を用いる。超音波のプローブにゼリー(超音波を入りやすくするため)を塗り(このときゼリーに気泡が入ると誤差になる)マジックバンドでカフの所定の位置に取りつける。プローブのセンターが上腕の動脈上に正しく当たるようにし、カフを巻く。プローブから発射された超音波ビームは血流によって反射され、プローブの受診器で検出されてドプラ信号となる。水銀血圧計と同じようにゴム球で最高血圧以上に加圧する。カフ圧をする。カフ圧を下ろしてくると図7のような原理で最高と最低血圧が測定できる。

カフ圧が最高血圧まで下がると、まず1ヶ所だけせ超音波のドプラ信号が発し、最高血圧

が確定される。カフ圧は最高と最低の間では。2ヶ所でドプラ信号が発せられる。カフ圧が最低血圧に近づくと二つのドプラ信号の間隔が広くなり、最低血圧の点で一つになって、

それ以下でドプラ信号がなくなる。このようにして最低血圧が測定される。計測時は超音波プローブ付属のコードがアンテナとなって雑音電波を取り込み、障害となることがあるため、商用電波(テレビ、ラジオ)、他の超音波機器での使用をさける必要があるる

 

指先容積脈波血圧計は非観血かつ無拘束の長時間血圧監視を目的とする血圧計です。

図8のように、まず手指の基節に上下に向かい合って「LED(発光ダイオード)光源」と「受光素子(光センサ)」と向かい合わせて当てる。これによって「指先脈波」(すなわち指先にきている動脈血流の変化)が検出される。次ぎにその上から指用の「小型カフ」をかぶせる。

測定原理はほぼオシロメトリック自動血圧計と同じです。オシロメトリック血圧計では

カフ圧内に生ずる空気振動を検出しているが、指先脈波血圧計で空気振動のかわりに指先の血管(動脈)の「容積変動」を検出する。スタートボタンを押すと、まずカフ内圧は最高血圧以上に上がり(すなわち指先の血流が途絶える)、ついでカフ圧が自動的に下がってきて脈波振動が始まった点が最高血圧となる。ついでカフ圧がさがるにつれて脈波振動の幅

が大きくなり、最大振幅点を過ぎてやがて消滅する。最大振幅点が平均血圧となる。

最低血圧は最高および平均血圧の値より推定される。最高・平均・最低血圧および脈拍数がデジタル表示される。カフは空気ではなく水で膨らまされる。通常の血圧測定のように

上腕にカフを巻く方式では、長時間頻回に血圧を潤していると強い圧迫感を感じたり、動きを拘束されるが、そえに比べ、指先容積脈波血圧計は指先にカフをはめるため、苦痛が少ないという利点を持つ。

 

B.液体圧(観血法の模擬)の測定技術

 

1)血圧測定系および血圧トランスデューサの取扱方法(「0」点校正)について理解する。

2)血圧トランスデューサ(ディスポーサブル)の周波数特性(動特性)

3)血圧測定系の長さ、太さ、コンプライアンスの変化による周波数特性の変化

  1. ダンパーによる波形の改善(補正)
  2. 気泡の混入および狭窄などによる周波数特性の変化
  3. 簡易周波数特性試験によるダンピング定数の把握

 

圧力発生装置、発振器、DCアンプ、血圧アンプ、記録器、注射器、ディスポーサブル血圧トランスデューサ、三方活栓(数個)、モニタリングチューブ各種(90cm,15cm:

3種類の材質のもの)、ダンパー

 

  1. 準備

  1. 圧力発生装置の圧力変換チャンバ内を水道水(厳密には脱気水)で、空気が完全になくなるように満たした。
  2. 測定装置などを図9のように結線した。
  3. ディスポーサブルトランスデューサを圧力発生装置のポートに接続し、水道水で満たし

「0点」を取った。

 

  1. 血圧トランスデューサの動特性(周波数特性)

  1. ディスポーサブルトランスデューサを直接圧力発生器に接続し、圧力が測定できる状態にした。
  2. 発振器の出力波形を正弦波にし、1〜25Hzの範囲で1Hz毎に周波数を変化させた時のそれぞれの振幅の変化を確認し記録した。
  3. Hz時の振幅を基準とし、各周波数での振幅の変化(振幅比)を求め、周波数に対する振幅率をグラフに描いた。

○実験結果

周波数

振幅

振幅比

1

40.5

1

2

43

1.061728

3

49

1.209877

4

56

1.382716

5

57

1.407407

6

59

1.45679

7

67

1.654321

8

63

1.555556

9

53

1.308642

10

36

0.888889

11

22

0.54321

12

14

0.345679

13

10

0.246914

14

8

0.197531

15

7

0.17284

16

6.9

0.17037

17

4.8

0.118519

18

4

0.098765

19

4

0.098765

20

3

0.074074

21

2.5

0.061728

22

1.5

0.037037

23

0.7

0.017284

24

1

0.024691

25

1.2

0.02963

 

 

  1. 血圧測定系の長さ、太さ、コンプライアンスの変化による周波数特性の変化

  1. ディスポーサブルトランスデューサの圧力発生器の三方活栓の間(※印の部分)に、
  2. 各種のモニタリングチューブ(90cm、15cm、各種の材質)を交換し、2)のA,

  3. と同様に繰り返した。

 

○実験結果

☆柔らかい場合          

周波数

振幅

振幅比

1

31.5

1

2

38

1.206349

3

50

1.587302

4

46

1.460317

5

50

1.587302

6

60

1.904762

7

53

1.68254

8

33

1.047619

9

21.3

0.67619

10

15

0.47619

11

11

0.349206

12

10

0.31746

13

6

0.190476

14

4

0.126984

15

5

0.15873

16

5.5

0.174603

17

7

0.222222

18

8

0.253968

19

9

0.285714

20

7.5

0.238095

         ※グラフはグラフ用紙

☆短い場合

周波数

振幅

振幅比

1

34

1

2

35

1.029412

3

34

1

4

37

1.088235

5

36.5

1.073529

6

34

1

7

31

0.911765

8

33

0.970588

9

35

1.029412

10

38

1.117647

11

45

1.323529

12

53

1.558824

13

58

1.705882

14

59

1.735294

15

38

1.117647

16

23

0.676471

17

15

0.441176

18

15

0.441176

19

14

0.411765

20

10

0.294118

21

8

0.235294

22

5

0.147059

23

4

0.117647

24

4.5

0.132353

25

4.5

0.132353

           ※グラフはグラフ用紙

☆細い場合

周波数

振幅

振幅比

1

37.5

1

2

43.5

1.16

3

49

1.306667

4

53

1.413333

5

56

1.493333

6

60

1.6

7

55

1.466667

8

37

0.986667

9

23

0.613333

10

16

0.426667

11

12

0.32

12

8

0.213333

13

6.5

0.173333

14

6

0.16

15

5

0.133333

16

3.4

0.090667

17

1.5

0.04

18

1.3

0.034667

19

1.1

0.029333

20

1

0.026667

21

1

0.026667

22

1.5

0.04

           ※グラフはグラフ用紙

■この実験結果の考察は考察2)で述べることにする。

 

  1. ダンパーによる波形の補正

  1. 正規のモニタリングチューブ(90cm)を用い、抵抗型ダンパ(openの状態)を装着 
  2. した。

  3. 2)−Aを行い、共振周波数(7Hz)の部位でダンパーを調整し、もと(1Hz時)の振幅と同じ値になるように調節し2)−Aを行った。
  4. ダンパーをopenの状態に戻した。
  5. ディスポーサブルトランスデューサ前の三方活栓に容量型のダンパを装着し、2)−Aを繰り返し変化を確認した。

 

 

 

周波数

振幅

振幅比

1

26

1

2

28

1.076923

3

28.5

1.096154

4

29

1.115385

5

26

1

6

24.5

0.942308

7

25

0.961538

8

22

0.846154

9

20

0.769231

10

15

0.576923

11

11.5

0.442308

12

7.4

0.284615

13

5

0.192308

14

4

0.153846

15

3.5

0.134615

16

3

0.115385

17

2.5

0.096154

18

3

0.115385

19

4

0.153846

20

6

0.230769

             ※グラフはグラフ用紙

■実験結果の考察

ダンパーを使用する前と比べると(グラフ参照)確かにダンパーにより共振がおさえられていることが分かる。

 

 

  1. 簡易周波数特性試験(squar wave test

  1. モニタリングチューブ内(90cm)を用い下図のようにセットした。
  2. 導管系を満たし、先端にゴム管および三方活栓を接続した。
  3. 空気によって加圧(100200mmHg)し、活栓を閉じ、漏れないことを確認した。
  4. 記録器を100mmHgsecで走らせると同時に、すばやく活栓を開き大気圧に戻した。
  5. 以上から固有振動数を求めた。

 

f::固有振動数(共振周波数)

☆ノーマル   f1/0.08=12.5Hz

☆短い場合   f1/0.03=33.3Hz

☆細い場合   f1/0.14=7.14Hz

 

■実験結果の考察

実験2),3)で得られた共振周波数と比較すると全体的に大きな値が得られた。この原因としては気泡の混入、導管系がまっすぐでなかったなどが考えられるが、実験2),3)で得られた値が正しいとも言いきれないので得られた値が正しいかどうかは判断しがたい。共振周波数の大小関係は変わっていないので値の真偽はともかくとして結果としては妥当

であると考えられる。

 

  1. 血圧トランスデューサの原理を電気工学的に述べよ。
  2. 血圧トランスデューサの構造は図10のようになっている。カテーテルやビニール管を通って伝えられた血圧は、受膜圧という金属膜を押し、この金属膜の内側に取り付けられたストレインゲージという抵抗細線により測定する。このストレインゲージは、血圧に押された金属受膜圧がどれだけへこんだかを検出する。ストレインゲージは金属の細い線でできており、金属の棒は押しちじめると短く太くなり、電気抵抗は小さくなり、逆に伸ばされると抵抗は大きくなる。血圧の変化に応じてストレインゲージは伸ばされたり縮められたりして抵抗の変化が起きるのでブリッジ回路を構成することにより、圧力に対応した電圧が得られる。

     

  3. 血圧トランスデューサの周波数特性について述べよ。
  4. 血圧トランスデューサの周波数特性は実験結果にも見られるように二次要素の周波数特性をもっている。血圧の測定において、共振時には歪みを生じるなど、正しい測定結果が得られないので共振周波数は高い方が良いといえる。ノーマルのカテーテル使用時と短いカテーテル使用時の周波数特性を比較すると短いカテーテルを使用したときの方が共振周波数が高いという結果が得られた。これは短いカテーテルではカテーテル内のへパリン加生理食塩水の慣性が妨げられにくいためであると考えられ。ノーマルと細い場合を比べるとノーマルの場合の方が共振周波数が高いという結果がえられた。これは管の内径が大きいほうが粘性抵抗が小さくなるためであると考えられる。カテーテルが柔らかい場合とノ―マルを比べるとノーマルの方が共振周波数が高いという結果が得られた。これはノーマルの方がコンプライアンスが小さいこと、カテーテルが曲がることによる慣性力のさまたげがすくないことが原因として考えられる。実験結果からカテーテルは短く、太く、硬いほうが良いことがわかる。

    しかし、あまり太くすると、速応性が悪くなる、管内のながれが層流になりにくい、利得が1以下になるなどの問題が生じると考えられ、もちろん血管の太さなども考慮しなければならない。また硬すぎてもゲイン特性における極大値が大きくなりすぎて良くない。このようなことから兼ね合いが大事であるといえる。

     

  5. 血圧測定計の材料及び実験の結果を考察し、理想的な測定系は如何にあるべきか工学的に考察せよ。
  6. 理想的な測定系は得たい情報を何にも左右されない(血圧の測定で言えば周波数などに左右されない)常に安定した結果がえられることである。そのためには生体なら生体の現象、物理的特性、化学的特性、生物学的特性を十分に理解し、その特性に見合った材料、大きさ、形状で測定装置がつくられるべきである。

     

  7. ダンパーの使用上の注意点について述べよ。 

ダンパーの回転調整ツマミを回すことにより、1ヶ所非常に細い部分をつくり、この抵抗によりダンピングするわけであるが、適切な位置に調節すれば正しい出力波形が得られる。

しかし、適切な位置に調節するこは難しく、ダンピング定数(0.60.7ぐらいが最適)

がオーバー(1.0以上)なったり、アンダー(0.40.2くらい)になったりすることが

あるので注意しなければならない。